僕が学校を卒業して初めて社会人になったのは、1989年(平成元年)のことです。
実は、この当時の僕はIT技術者ではなく、総務人事の新人として事務方の仕事をしていました。
その頃の僕の先輩社員の中には「ワープロ」を非常に得意としている女性がわずかながら数人おり、彼女達には上司が頭を下げて仕事をお願いするという、ちょっとした特別待遇でした。
当時のワープロのスキルというのは大変貴重な技能であり、ワープロが打てる人というのはかなり「デキる」社員だったのです。
ただ、面白いことに現在の世の中においてはもう、ワープロなんて誰もが当たり前のように打てる時代になりました。
きっと「ワープロ検定1級」なんて資格を持っていたとしても、普通の会社の中では何の自慢にもなりません。
現代は、「ワープロが打てること」ではなく、「ワープロで打つべき文章がキチンと作成できること」に重きが置かれることでしょう。
もう、オジサンの上司が手書きの原稿をワープロ担当の女性に清書してもらう時代は終わったのです。
僕は同じようなことが、きっとこれから英語などの語学にも起きると思っています。
諸外国を相手に仕事をするためには、その国の人に伝える「何か」というものを自分で考え、それを自らの手で翻訳をしていくのがこれからの職業人のあり方であり、これが出来ない人(翻訳が出来ない人、翻訳しかできない人)同士の連携では仕事は成り立たなくなるでしょう。
では、ICT(情報コミュニケーション技術)はどうでしょう?
僕の勝手な持論かも知れませんが、 ICT とは結局、言語と同じように単なる「コミュニケーション技術」です。
きっとこれからの世の中、「ICTしか知らない人」と「ICTを知らない人」との連携で仕事をしてゆくスタイルは終わると思っています。
また、まさに現代は、一般の人達がコンピュータを使いこなすスキルを物凄いスピードで習得しつつあります。
そういう状況を考えると、 「ICTしか知らない技術者」はもう要らない時代が徐々に近づいているのです。
更に言うと、ICTとは、「社会を動かすため」のものであり、ICT技術者が社会を考えられなければ、きっと良い仕事はできないと思うのです。
これからの コンピュータプログラマは、「このプログラムがどんな風に社会に影響するのか」と言うことを常に考えられなければ、きっと時代に取り残されて行くことでしょう。
これは僕の杞憂でしょうか? きっとそんな事はないと思っています。
手段と目的を取り違えている人 多すぎます(笑)
へいちゅあんさん、それもなかなかムリもないとかと…(^^;
きっと分業というものの難しさから来ていると思います。
例えば、飲食店や小売店のアルバイトでも、彼らの目的は「アルバイト料を稼ぐこと」であり、決してお客さんを増やすことではないですからね。 むしろ、お客が減って仕事が楽になる方が助かる筈ですから。
コンピュータシステムも同じで、委託元のお客さんの意図を実現するシステムを作りこまなければ、例え作り上げたものがお客さんの提示した仕様通りでも、「売れない」システムになりますもんね。
そう考えると、お客さんはもうシステムインテグレーターに委託するよりも、自身の会社の中にシステムインテグレート部門を作ることを考えると思います。
そう言った意味で、これからを生き残るSIベンダーってものはお客さんから与えられた情報だけでなく、想像力を大いに働かせなければいけないと思いますね。